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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「退職日が月末に延期となった場合の、賞与にかかる社会保険料」

質問1

Q.

 12月10日に賞与が支給されました。12月20日に退職する予定だったため、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は賞与から天引きされませんでした。ところが、引き継ぎの都合で、退職日が延期となり、12月31日退職となりました。この場合、社会保険料はどうなるのでしょう。   
【30才 男性】
答え

A.

このケースでは、12月10日の賞与には社会保険料がかかることになるので、あなたは、本来天引きされるべきだった額を、お店に支払わなければなりません。
 まず、月々の給与にかかる社会保険料について確認しましょう。給与にかかる社会保険料は、日割という概念はなく、「月」を単位にかかります。その期間は、「資格取得日の属する月」から「資格喪失日の属する月の前月」までです。資格取得日とは、入社日のことで問題ないでしょう。一方、資格喪失日については注意が必要です。資格喪失日とは、退職日のことではなく、「退職日の翌日」のことです。例えば、12月20日退職の場合、資格喪失日は12月21日となり、その前月である11月分までの社会保険料がかかります。一方、12月31日退職の場合、1月1日が資格喪失日となり、その前月である12月分までかかります。結論だけ言えば、
月の途中で退職した場合→その前月まで社会保険料がかかる
月末退職の場合→その月まで社会保険料がかかる
ということです。
 さて、賞与にかかる社会保険料についても、この考え方がベースとなります。
すなわち、
月の途中で退職した場合→退職月に支給された賞与に社会保険料はかからない
月末退職の場合→退職月に支給された賞与に社会保険料はかかる
となります。
 問題は、ご質問のように、月の途中で退職する予定だったのが、月末まで退職日が延期されたケースです。賞与支給時に社会保険料を天引きしなかったお店の対応が正しかったわけです。しかし、月末退職となったために、結果的には、天引きしなければならなかったことになります。お店側としては、あなたの同意を得て、12月勤務分の給与から、給与分とあわせて賞与分の社会保険料を天引きするのが、現実的な対応となるでしょう。
 なお、逆のパターンとして、月末退職の予定だったために賞与から社会保険料を天引きした後、事情により、退職日が早まり、月の途中で退職した場合、お店の側は、天引きした社会保険料を本人に返さなければなりません
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 もし、月の途中で退職した場合、退職月に支給する賞与に社会保険料はかからないということは本文で述べたとおりです。この場合の実務的な注意点ですが、年金事務所や健康保険組合に提出する「賞与支払届」には、たとえ社会保険料はかからなくても支給額を記入して届け出なければなりません。健康保険料については、1年度における賞与額の累計に関して、540万円が上限となっていますが、この累計額には、社会保険料のかからなかった分についても含めて計算されるからです。
グルメキャリー298号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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