
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「任意継続被保険者が保険料を前納していた場合の資格喪失」

Q.
退職後、健康保険の任意継続被保険者になっている女性です。退職当時、夫は個人経営の飲食店に勤めていて、健康保険ではなく国民健康保険に加入していました。そのため、私が扶養に入るという選択肢はありませんでした。
先日、夫の勤務先が法人成りをして、健康保険に加入することになり、私も扶養に入りたいと思っています。ところが、任意継続被保険者としての保険料を、来年3月分まで前払いしています。この場合、扶養手続はどうなりますでしょうか。
先日、夫の勤務先が法人成りをして、健康保険に加入することになり、私も扶養に入りたいと思っています。ところが、任意継続被保険者としての保険料を、来年3月分まで前払いしています。この場合、扶養手続はどうなりますでしょうか。
【30才 女性】

A.
保険料を前払いしているところまでは、任意継続被保険者をやめることはできません。したがって、結論としては、現時点で夫の扶養に入る(被扶養者になる)ことはできません。
在職中、健康保険に加入していた人が退職した場合、その後の公的医療制度については(1)家族が加入している健康保険の被扶養者になる(2)国民健康保険に加入する(3)任意継続被保険者になる、といった3つの選択肢があります。(1)は保険料の負担がまったく生じないので、もっともオススメなのですが、そもそも家族が健康保険に加入していない場合、この選択肢は消えます。残る(2)と(3)については、それぞれの保険料を事前に調べ、負担の少ない方を選ぶのが一般的です。あなたはこの時点で、任意継続被保険者を選択したというわけです。
任意継続被保険者になると、資格喪失事由に該当しない限り、加入期間の2年間は自由にやめることはできません。家族の健康保険の被扶養者になるから、という理由ではやめることはできないということです。
ところで、資格喪失事由の一つに、「保険料を納付期限までに納めなかったとき」というものがあります。ということは、任意継続被保険者をやめたくなったら、あえて保険料を払わないでいると、自動的に資格喪失となるということです。つまり、事実上、ある程度は自由にやめることができるテクニックが存在するということです。
しかし、ご質問のケースでは、任意継続被保険者の保険料を、来年3月分まで前払い(前納)しています。この場合には、先述のテクニックを使って、すぐにやめるというわけにはいきません。したがって、前納している3月までは、任意継続被保険者のままでいるしかなく、被扶養者になれるのはその後となります。
保険料を前納すると割引を受けられるので、経済的に可能なら利用した方が良いでしょう。しかし、将来的に被扶養者になれる可能性がある場合、かえって損することになりますので、よく検討しなければなりません。
なお、再就職して、自身が健康保険に加入した場合は、法定の資格喪失事由に該当します。この場合、任意継続被保険者の資格は喪失し、前納していた保険料は返還されます。
在職中、健康保険に加入していた人が退職した場合、その後の公的医療制度については(1)家族が加入している健康保険の被扶養者になる(2)国民健康保険に加入する(3)任意継続被保険者になる、といった3つの選択肢があります。(1)は保険料の負担がまったく生じないので、もっともオススメなのですが、そもそも家族が健康保険に加入していない場合、この選択肢は消えます。残る(2)と(3)については、それぞれの保険料を事前に調べ、負担の少ない方を選ぶのが一般的です。あなたはこの時点で、任意継続被保険者を選択したというわけです。
任意継続被保険者になると、資格喪失事由に該当しない限り、加入期間の2年間は自由にやめることはできません。家族の健康保険の被扶養者になるから、という理由ではやめることはできないということです。
ところで、資格喪失事由の一つに、「保険料を納付期限までに納めなかったとき」というものがあります。ということは、任意継続被保険者をやめたくなったら、あえて保険料を払わないでいると、自動的に資格喪失となるということです。つまり、事実上、ある程度は自由にやめることができるテクニックが存在するということです。
しかし、ご質問のケースでは、任意継続被保険者の保険料を、来年3月分まで前払い(前納)しています。この場合には、先述のテクニックを使って、すぐにやめるというわけにはいきません。したがって、前納している3月までは、任意継続被保険者のままでいるしかなく、被扶養者になれるのはその後となります。
保険料を前納すると割引を受けられるので、経済的に可能なら利用した方が良いでしょう。しかし、将来的に被扶養者になれる可能性がある場合、かえって損することになりますので、よく検討しなければなりません。
なお、再就職して、自身が健康保険に加入した場合は、法定の資格喪失事由に該当します。この場合、任意継続被保険者の資格は喪失し、前納していた保険料は返還されます。

飲食店オーナーの方へ
任意継続被保険者になるかどうかは、完全に退職者個人の問題です。ただ、退職時に相談を受けた場合には、ある程度、制度の説明をできるようにしておくべきでしょう。
グルメキャリー306号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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