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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「出勤途中に業者へ向かっている途中の事故は、通勤災害か業務災害か」

質問1

Q.

 私は毎日、出勤途中に仕入れ業者に立ち寄り、食材を仕入れてからお店に出勤しています。先日、自宅から仕入れ業者に向かっている途中で事故に遭いました。労災保険では業務上災害と通勤災害のどちらにあたるのでしょうか。
【32才 男性】
答え

A.

 労災保険で扱われる保険事故には、業務上災害と通勤災害がありますが、実務の世界ではどちらにあたるか判断の難しいこともあります。ご質問のケースでは、通勤災害と判断される可能性が高いでしょう。
 労災保険法において、出勤や退勤に際する通勤災害の定義としては、「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間の往復を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除く」とされています(7条2項1号)。「業務の性質を有するもの」にあたる場合は、通勤途上であっても業務上災害となります。では、自宅から仕入れ業者に向かっている途中は、ここでいう「業務の性質を有するもの」でしょうか。
 行政側としては、
(1)事業主の業務命令があったかどうか。明示の業務命令はなかったとしても当該労働者として職務上当然行うことが予想される用務であったかどうか。
(2)用務の遂行にあたり、通常の通勤時間、通勤順路、通勤方法等と著しく異なった時間、順路、方法等による必要があったかどうか。
 といった観点から「業務」にあたるか否かを判断します。
 具体例としては、突発事故のため休日出勤の呼出しを受け現場へ赴く途中の事故や、無断欠勤した部下の事情調査のため、出勤途上にその部下の自宅へ赴く途中の事故については、業務上災害と判断されました。
 一方、外勤作業に従事する営業担当者に関して、「特定の区域を担当し、その区域内にある数箇所の用務先を受け持って自宅との間を往復している場合には、自宅を出てから最初の用務先に着くまでの間、最後の用務を終えて自宅に戻るまでの間は、特別の事情がない限り、通勤途上とする」という行政通達があります。
 以上を踏まえて、ご質問のケースを検討します。今回の仕入れ先業者に立ち寄る行為は、お店からの業務命令があってのことだと思われます。しかし、その命令は突発的なものではなく、毎日の出勤に際してとのことです。そうすると、通常の業務を開始するのは仕入れ業者に着いてからということになり、仕入れ業者はもはや「就業の場所」であると言えるでしょう。したがいまして、今回のケースは通勤災害と判断される可能性が高いと思われます。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 今回のケースでは通勤災害にあたりますが、本文でも触れたとおり、突発的な業務命令による場合、通勤途上でも業務上災害と判断されることがあります。判断に迷ったら、労働基準監督署に確認してください。
グルメキャリー324号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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