[an error occurred while processing this directive]
フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「取締役兼店長が、幹部会議に向かっている途中の事故は通勤災害か」

質問1

Q.

 私は、飲食店の店長であるとともに、取締役にもなっています。ただ、取締役といっても特に権限が与えられているわけではなく、業務内容のほとんどは、社長らから命じられて行う店長業務そのものです。たまに行われる幹部会議に出席することがありますが、この会議は取締役ではない店長も参加するものです。
 先日、その幹部会議が朝イチからあり、自宅から向かっていたのですが、途中で事故に遭いました。この場合、労災保険の通勤災害として扱われるのでしょうか。
【39才 男性】
答え

A.

 まず、取締役が労災保険の対象になるかについて確認しましょう。労災保険により補償を受けられるのは、労働基準法に定義される「労働者」です。したがって、取締役等の役員は労災保険の対象とならないのが大原則です。ただ、役員の地位にあっても、ほかの労働者と同じような業務に従事しているケースはよくあることです(このような役員を、「兼務役員」と呼びます)。行政通達によると、「役員であっても、本人が代表権や業務執行権を持たず代表権・業務執行権を持つ役員等から指揮命令を受けて労働に従事し、その対価として賃金を受けている場合、その限りにおいて労働者として取り扱う」としています。
 ただし、行政解釈では、「労働者として取り扱われる役員であっても、法人の機関構成員としての職務遂行中に生じた災害は労災の保険給付の対象としないこと」とも示されています。
 つまり、兼務役員が労災保険から保険給付を受けられるのは、労働者としての業務に関連して生じた事故に限られ、いわば純粋な役員として職務に関連するものは対象とならないということです。
 ご質問のケースに当てはめてみましょう。あなたは、取締役として特に権限が与えられているわけではないということなので、代表権・業務執行権は持っていないものと考えられます。また、日ごろの業務はほかの労働者と変わらない店長業務とのことなので、「労働者」性も相当高いことになります。そして、幹部会議には、役員だけでなく、通常の店長も出席するとのことですので、その会議に向かっている途中で生じた事故については、労災の通勤災害と認定される可能性は十分考えられます
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 取締役になると、労災保険の対象から外れると思い込んでいる経営者さんも多いようですが、具体的な実態に即して、労災保険法上の「労働者」にあたるか否かは判断されます。なお、通常の労働者から兼務役員になった場合、労災保険では特に必要な手続はありません。一方、雇用保険の被保険者であるためには、労働者的性格が強い者であることを、ハローワークで認定を受けなければなりません
グルメキャリー356号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

業務案内:給与計算、労働・社会保険の手続き代行、就業規則の診断・作成 店長・管理職対象労務研修の実施、人事・労務相談

お問い合わせはお気軽に! E-mail:info@SR-hisano.com URL:www.SR-hisano.com TEL:03-3906-4636 FAX:03-3906-2722
[an error occurred while processing this directive]
[an error occurred while processing this directive]
第26回 飲食×レストラン業界合同企業説明会 秋葉原 秋葉原UDX 2F アキバ・スクエア
[an error occurred while processing this directive]