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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「台風で帰宅できず同僚宅に泊めてもらい、翌日直接出勤する途中での事故は通勤災害か」

質問1

Q.

 先日、台風で電車が止まり、仕事から帰れなくなったので、お店の近くに住む同僚に泊めてもらいました。翌日、その同僚宅から直接出勤したのですが、途中で転んでケガをしました。私は、労災保険の通勤災害にあたると思い、手続しようとしたところ、お店の事務担当者からは、「自宅からお店の間での事故ではないので、労災は使えない」と言われました。本当でしょうか。
【30才 男性】
答え

A.

 原則的には、事務担当者さんの言っていることは正しいです。しかし、今回のように台風で帰宅できず、一時的に自宅と異なる場所に泊まった場合、例外として、そこからの出勤途上の事故でも通勤災害と認定される可能性はあります。
 労災保険法における、「通勤」の定義は、「労働者が、就業に関し、住居就業の場所との間の往復を、合理的な経路及び方法により行うこと」とされています(7条2項1号)。
(なお、二重就業者が一つ目の事業所から二つ目の事業所へ向かう際の移動(同2号)や、単身赴任者が帰省する際の移動(同3号)も「通勤」と扱われます)
 ここでいう「住居」とは、労働者本人の就業のための拠点となる所を指します。もちろん自宅が典型的な「住居」となります。そのほかにも、就業の必要性により一時的に宿泊した場所を「住居」とみなされることもあります。具体的には、(1)長時間の残業や早出出勤等の勤務上の事情(2)交通機関のストライキ等の交通事情(3)台風などの自然現象等の不可抗力的な事情、これらにより一時的に通常の住居以外の場所(旅館やホテル等)に宿泊するような場合には、やむを得ない事情で就業のために一時的に居住の場所を移していると認められるので、その宿泊場所が「住居」とみなされます。
 一方、友人と居酒屋で飲んでいて終電を逃して友人宅に泊まったり、友人宅で麻雀をしていてそのまま泊まったりした場合には、翌日そこから直接出勤したとしても、その友人宅は、「住居」とは認められません。
 ご質問のケースについて検討してみましょう。勤務終了後、台風で電車が止まっていて帰宅できず、同僚宅に泊めてもらったということは、やむを得ない事情で就業のために一時的に泊まったわけであり、その同僚宅が一時的な「住居」と認められると思われます。したがって、翌日その同僚宅から出勤する途上で起きた事故も、通勤災害として認定される可能性が高いでしょう。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 一般的な感覚では「通勤」と思っていても、労災保険法上は「通勤」と認められないこともありますし、その逆のケースもあります。「通勤災害」にあたるか否か、不用意に判断をするのではなく、労働基準監督署に確認することが大切です。
グルメキャリー361号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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