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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「ヘルプ先店舗へ移動中の事故でケガをした場合、通勤災害か」

質問1

Q.

 チェーン展開している居酒屋で働いています。先日、所属店舗での勤務後、人手が足りない店舗までヘルプに行く途中、自転車で転倒してケガをしました。この場合、労災保険の通勤災害になるのでしょうか。
【29才 男性】
答え

A.

 ヘルプ先店舗で働くための移動中に起きた事故であり、仕事中ではないので通勤災害にあたると思われたのでしょう。しかし、このような場合には、移動自体も仕事中と考え、業務上災害として扱われます
 労災保険法における「通勤」の定義では、労働者が就業に関して移動することのうちから、「業務の性質を有するもの」を除くこととされています(7条2項)。所属店舗での勤務後に、他店舗でのヘルプ勤務を命じられたのは、業務命令であり、移動そのものも業務に含まれていると言うことができます。
 また、労災保険法において、業務上災害と判断されるためには、「業務遂行性」が認められなければなりません。業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることです。業務命令によりヘルプ先店舗へ移動している間も、事業主の支配下にあったことになり、業務遂行性が認められます。
 ただし、移動中に私用のために寄り道や遠回りをしていたといった、積極的な私的行為があった場合には、業務遂行性は認められなくなってしまいます。
 以上のとおり、所属店舗で勤務後、業務命令でヘルプ先店舗へ移動中に起きた事故でケガをした場合、積極的な私的行為をしていない限り、通勤災害ではなく業務上災害として認定されると考えられます。
 ところで、ご質問のケースは、同じ会社が経営する店舗間の移動に関してでした。それとは別のケースで、アルバイトのかけ持ちなどで、異なる会社の店舗間の移動だったとするとどうなるでしょう。この場合には、通勤に定義される移動の一つである、「就業の場所から就業の場所への移動」にあたり、通勤災害として認定されることになります(同条同項2号)。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 労災保険の手続用紙は、業務上災害と通勤災害で異なります。「勤務先への移動は通勤だ」と早合点することなく、適切な手続をするようにしてください。
グルメキャリー372号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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