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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「健康診断の結果を、本人の同意無くお店が取得できるか」

質問1

Q.

私の勤めるお店では、健康診断が実施されるのですが、その結果が私への通知だけではなく、お店でも管理されています。自分の健康状態を知られるのは、あまり気分がよくないのですが、お店は勝手に見てもいいのですか。
【29才 女性】
答え

A.

 まず、健康診断の目的を押さえておきましょう。健康診断は、労働安全衛生法という法律で、雇入時と1年に1回(深夜業従事者は6ヶ月に1回)実施することが事業者に義務付けられ、同時に、労働者は受診しなければいけないとされています(66条)。そして、実施後には、事業者は労働者本人に結果を通知し(66条の6)、結果を記録し(66条の3)、異常の所見がある場合には健康確保措置について医師等の意見を聴かなければならず(66条の4)、必要な場合には、適切な措置を講じなければならない(66条の5)としています。また、事業者には健康診断個人票を作成し、5年間保存する義務もあります(安衛則51条)。つまり、健康診断は実施することが目的ではなく、実施後に労働者の健康管理に役立てることこそが重要なのです。健康診断を、雇用主の行うサービスや福利厚生と勘違いしていると、この目的も見失ってしまいます。
 以上のとおり、お店は健診の結果を見てもいいかどうかどころの問題ではなく、結果を踏まえて労働者の健康上の就業管理をすることが必要です。もちろん、健診結果は個人情報の中でもセンシティブ(機微)情報にあたりますので、厳重に管理し、情報を取り扱うことができる者も、必要な範囲でなければいけないことは、いうまでもありません。
 ところで、本人の同意がないのに、お店は健診結果を取得できるかどうかの問題があります。個人情報保護法では、原則として本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供することは、禁止されています(23条1項)。しかし、例外として「法令に基づくもの」については、本人の同意は不要とされています。健康診断はこの「法令に基づくもの」に該当しますので、健診項目が法定のものである限り、本人の同意無く健診結果を取得できることになります。事業者から委託を受けた医療機関についても、本人同意は原則不要で事業者に情報を提供できるとされています。
グルメキャリー186号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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