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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「懲戒処分したことを社内に公表しても許されるか」

質問1

Q.

お店のお金を使い込んでしまい、出勤停止の懲戒処分を受けました。そして、そのことが、私の名前を含めて、社内に公表されました。会社は「今後の再発を防ぐためだ」というのですが、これは法律上問題無いのですか。また、名誉毀損にはならないのですか。
【35才 男性】
答え

A.

結論としては、明文化されたなんらかの法律に直接違反するというわけではありません。しかし、事案の態様によっては、名誉毀損に当たるとして、慰謝料の請求が認められる可能性があります。
 懲戒とは、労働者が企業秩序を乱す行為をした場合に、使用者が制裁として行う不利益措置のことです。懲戒処分が有効になされるためには、まず就業規則に「どんなことをした場合(懲戒の事由)」に、「どんな処分(懲戒の種類)を行うか」を定めておく必要があります。そして、実際に懲戒権を行使するためには、処分の対象となる行為の性質や態様に応じて、バランスの取れた重さの処分内容であること、本人に弁明の機会を与えるなどの適正な手続によることが、必要となります。
 懲戒権の行使が適正なものであることを前提として、処分内容を社内に公表することを考えてみます。裁判例によると、「懲戒処分は不都合な行為があった場合にこれを戒め、再発無きを期するものであることからすると、懲戒処分が行われたことを広く社内に知らしめ、注意を喚起することは不当なものとはいえず、名誉毀損には当たらない」としたものがあります。しかしその一方で、(こちらは懲戒解雇自体を無効とした事案ですが)全社員に処分内容を公表したことは人格権侵害となり、慰謝料の請求を認めた裁判例もあります。
  以上のことから、懲戒処分を公表するためには、少なくとも事前に公表基準や公表内容等を就業規則に定めておくべきでしょう。そして、公表するとしても、氏名まで公表するのは、再発防止の趣旨を超え、「見せしめ」の意味合いが強くなると考えられます。使用者側は、公表内容について、事案の経緯と処分結果、あとは個人を特定できない程度の所属や役職までとするべきです。
グルメキャリー194号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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