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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「兄の経営する店を手伝っても、労働基準法は適用か」

質問1

Q.

近所に住む兄が独立して、居酒屋を始めました。私は、昼はサラリーマンをしているのですが、夜少しだけ兄の店を手伝うことになりました。まだお店が軌道に乗っていないので、ひとまず時給500円という約束です。兄は冗談交じりに「これじゃ労働基準法違反だなあ」と言うのですが、実際には兄弟間でも労働基準法が適用されるのですか。
【28才 男性】
答え

A.

労働基準法は、労働者が健康で文化的な生活を営むために必要な労働条件の最低基準を定めること、戦前に横行していた封建的な制度を排除すること等を目的に制定されたものです。また、実効性を担保するために、刑罰や行政取締により、使用者に対し法律を守らせるための威嚇力を有していることが特徴です。
 それだけ強力な法律なわけですから、1人でも労働者を雇っている事業に対しては、強制的に適用されます。しかし、中には法律の趣旨がなじまないとされる事業については、適用が除外されています。その1つが、「同居の親族のみを使用する事業」です(労基法116条2項)。「親族」とは、民法にもとづき、六親等内の血族、配偶者及び三親等内の姻族をいいます。「同居」とは、世帯を同じくして常時生活を共にしていることであり、実質的に、居住及び生計を一にしていることをいいます。同居の親族のみを使用する事業に対して、一般的な労働関係として取り扱うことや、公の法律や行政が、親族間に割り込んで干渉することが適切でないことから、適用を除外されています。
  さて、ご質問についてですが、あなたを使用しているのは、あなたの兄ですので、「親族」には該当します。しかし、居住を異にしていること、あなたは昼間別の仕事をして独立した生計を営んでいることから、「同居」の要件を満たしません。つまり、適用除外には該当しないので、労働基準法が適用される事業ということになります。そうすると、労働時間や賃金支払等、さまざまな労働条件の規制を受けることになります。また、労働基準法から派生した最低賃金法も適用されるため、時給500円という契約は、同法違反となります。
グルメキャリー195号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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