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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「仕事のミスで生じた損害について、お店は賠償請求できるか」

質問1

Q.

先日、食器洗浄機の使い方を誤り、故障させてしまいました。業者を呼んで修理をしたのですが、その修理費全額の数万円を、お店から請求されました。私はこれを払わなければいけないのでしょうか。
【25才 男性】
答え

A.

確かに、使用者(お店の側)は、労働者のミスで被った損害について、賠償金を請求することが可能なケースもあります。しかし、全額を請求することはまず無理でしょう。
 原則的な考え方としては、労働者が、働いている過程において、お店に損害を与えた場合、労働者はお店に対して損害賠償責任を負うことになります。
 しかし、使用者は労働者を使って、経済的利益を得ている以上、その半面では労働者が仕事でミスをするというリスクもあるわけです。それなのに、ミスをしたら全額を賠償させるというのは、虫が良すぎます。また、使用者には、労働者がミスをしないように指導する責任もあります。したがって、ミスの程度に応じて、損害を負担するべきというのが、法律の考え方です。これを、損害の公平な分担といいます。
 さまざまな裁判例をまとめると、まず軽微なミスによって起こした損害は、そもそも賠償請求はできないこととなるでしょう。例えば、お皿を洗っている途中で割ってしまったというようなケースです。
 次に、軽微とは言えないミスによる損害については、賠償請求の認められる可能性が生じます。しかし、請求自体は認められても、労働者が負担するのは、せいぜい損害額の4分の1程度と判断される可能性が高いでしょう。
 さらに、もっと重大な過失によって生じた損害については、4分の1を超える賠償額が認められる可能性もあります。しかし、それでも全額の賠償を認めた裁判例はありません。
 一方、過失ではなく、故意や不正行為、背任行為によって生じた損害については、全額の賠償請求が認められる可能性があります。
 さて、ご質問のケースですが、例えば、あなたがムシャクシャして洗浄機を乱暴に扱って故障させたなら、それは弁償が必要でしょう。そうではなく、単に操作や取扱いを誤って故障した、かつ、そういった誤りやすい操作について、お店の側から以前から注意を受けていなかった、とすれば、賠償請求自体が酷と判断される可能性が高いでしょう。
グルメキャリー203号掲載
イラスト

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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