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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「無断欠勤のまま行方不明となり、自然退職と扱われる場合」

質問1

Q.

 お恥ずかしい話ですが、上司とケンカをして、お店をずっと無断欠勤していました。呼び出しにも応じず、行方をくらまし各地を転々としていました。しばらくして家に戻ると、「無断欠勤が継続し、行方不明になってから30日を経過したので、就業規則にもとづき、○月○日をもって退職と扱います」という通知が、お店から届いていました。これは解雇されたということですか。
【26才 男性】
答え

A.

 これは解雇ではありません。
 広い意味での「退職(労働契約の解約)」には、使用者(お店の側)からの一方的な解約である「解雇」、労働者からの一方的な解約である「辞職」、使用者と労働者が合意の上で解約する「合意退職」のほかに、「自然退職」(当然退職、自動退職ともいう)と呼ばれる類型があります。
 「自然退職」とは、例えば、有期労働契約の契約期間が満了したとき、死亡したとき、定年年齢に達したとき等、労働者や使用者による何らかの意思が働くことなく、『自然に(自動的に)』退職となるケースのことです。
 さて、あなたのように無断欠勤や行方不明となった労働者を、お店の側はいつまでもそのままにしておくわけにはいけません。しかし、解雇するとしても、行方不明となっている本人に、解雇の意思表示は到達しないので、解雇手続を取ることができません(解雇が効力を生じるためには、使用者による「解雇の意思表示」が、労働者本人に到達しなければいけません)。
 使用者には、「公示による意思表示」という手段もあります。これは、裁判所の掲示板への掲示等をすることで、行方不明者に意思表示が到達したとみなす手続のことです。しかし、この手続は非常に手間のかかるものです。
 そこで、実務的対策として、「行方不明となり一定期間経過した場合には、自然退職とする」という条項を、就業規則に定めていることがあります。この『一定期間』は、何日以上なら法的に認められるかについて諸説ありますが、一般には30日以上としていることが多いようです。
 以上のとおり、あなたの勤めていたお店の就業規則には、前記のような自然退職条項が定めてあったため、規定された期間である30日が経過した時点で、解雇手続によらず、自然退職として扱われたということです。
グルメキャリー212号掲載
イラスト

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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