
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「役職の引下げやその降格による賃金減額は、一方的にできるか」

Q.
飲食店で店長の職に就いていました。しかし、売上の低迷や、スタッフの管理ができていないことを理由に、副店長に役職を引き下げられました。それに伴い、毎月の役職手当も3万円下がりました。こういった命令は一方的にできるのですか。
【32才 男性】

A.
店長、副店長、主任などの役職が上がることを「昇進」、その反対に下がることを「降格(または降職)」といいます(降格には、このほかに、職能資格制度と呼ばれる賃金制度における資格の引下げ(「昇格」の反対)と、懲戒処分によるものがありますが、それらはご質問のケースと異なる性質のものですので、ここでは扱いません)。
一般的に、企業において『誰をどんな地位に就け』、『その地位にあった者を何らかの理由(業績不振・業務不適格等を含む)において更迭すること』は、使用者の人事権の裁量的行為である、とされています。つまり、役職の引上げにしても、引下げにしても、人事評価が適正に行われ、人事権の行使が権利の濫用にあたらない限り、お店側の裁量で自由に行うことができます。
次に、役職手当の減額についてです。一般に、役職手当は、一定の役職に就いていることが支給要件とされています。したがって、降格により役職が変更となった場合、それに伴って手当が減額されることも認められます。ただし、減額が大きい場合には、人事権の濫用と判断される可能性が高くなります。
以上のとおり、人事権の適正な行使による降格は、お店側の裁量として認められ、それに伴う役職手当の減額も適法となります。
一般的に、企業において『誰をどんな地位に就け』、『その地位にあった者を何らかの理由(業績不振・業務不適格等を含む)において更迭すること』は、使用者の人事権の裁量的行為である、とされています。つまり、役職の引上げにしても、引下げにしても、人事評価が適正に行われ、人事権の行使が権利の濫用にあたらない限り、お店側の裁量で自由に行うことができます。
次に、役職手当の減額についてです。一般に、役職手当は、一定の役職に就いていることが支給要件とされています。したがって、降格により役職が変更となった場合、それに伴って手当が減額されることも認められます。ただし、減額が大きい場合には、人事権の濫用と判断される可能性が高くなります。
以上のとおり、人事権の適正な行使による降格は、お店側の裁量として認められ、それに伴う役職手当の減額も適法となります。
グルメキャリー237号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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