
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「採用内定取消しに、解雇予告は必要か」

Q.
転職活動の末、ある飲食店から採用内定をいただきました。ところが、入社3日前に、突然、採用取消の連絡がありました。このような場合、解雇手当のようなものはもらえないのですか。
【25才 女性】

A.
採用内定の取消に、労働基準法の解雇予告や解雇予告手当に関する規定は適用されるのでしょうか。これは簡単なようで、実は見解が分かれている問題なのです。
まず、採用内定とは、法的には「働き始める時期を決めて、一定の場合には内定を取り消す権利(解約権)が付いた労働契約が成立した」ことになります。このことを「始期付解約権留保付労働契約」と呼びます。そして、内定を取り消すということは、成立した労働契約を解約するのですから、「解雇」の一種ということになります。では、解雇の一種なのだから、労働基準法にもとづき、解雇の30日前に予告すること(解雇予告)や、即時解雇する場合に平均賃金30日分の手当(解雇予告手当)は必要なのでしょうか。
行政通達によると、採用通知が、労働者からの労働契約締結の申込に対する、使用者の承諾の意思表示にとしてなされたものだった場合、労働契約は有効に成立しているのだから、採用取消通知は労働契約解除の通知であるから、労働基準法20条の適用があり、解雇予告や解雇予告手当が必要である、としています。これが厚生労働省の見解です。
一方、労働法学の世界では、別の見解が有力です。労働基準法には、20条の適用を除外し、解雇予告や解雇予告手当が不要な労働者をいくつか定めています。その中に、「試用期間14日以内の労働者」があります。ということは、「試用期間として実際に働き始めている労働者でさえ、解雇予告の適用が除外されるのだから、採用内定期間中の者には、なおさら必要ないだろう」とする説が、労働法学では支持されています。
現時点では、この問題に関する判例が確立していないため、決着はついていません。しかし、先述のとおり、少なくとも厚生労働省は、解雇予告が必要という見解です。あなたが、労働基準監督署に申告すれば、必ずそのお店に指導が入ります。
ところで、採用内定取消しには、解雇と同様に労働契約法16条の適用があるとされています。つまり、客観的合理的理由と社会通念上相当性が無ければ、そもそも今回の採用内定取消しは無効ということになります。どのような理由があれば採用内定取消しが認められるかは一概には言えません。一般的には、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できない様な事実が判明したといった事実がなければ、採用内定取消しは無効となります。
まず、採用内定とは、法的には「働き始める時期を決めて、一定の場合には内定を取り消す権利(解約権)が付いた労働契約が成立した」ことになります。このことを「始期付解約権留保付労働契約」と呼びます。そして、内定を取り消すということは、成立した労働契約を解約するのですから、「解雇」の一種ということになります。では、解雇の一種なのだから、労働基準法にもとづき、解雇の30日前に予告すること(解雇予告)や、即時解雇する場合に平均賃金30日分の手当(解雇予告手当)は必要なのでしょうか。
行政通達によると、採用通知が、労働者からの労働契約締結の申込に対する、使用者の承諾の意思表示にとしてなされたものだった場合、労働契約は有効に成立しているのだから、採用取消通知は労働契約解除の通知であるから、労働基準法20条の適用があり、解雇予告や解雇予告手当が必要である、としています。これが厚生労働省の見解です。
一方、労働法学の世界では、別の見解が有力です。労働基準法には、20条の適用を除外し、解雇予告や解雇予告手当が不要な労働者をいくつか定めています。その中に、「試用期間14日以内の労働者」があります。ということは、「試用期間として実際に働き始めている労働者でさえ、解雇予告の適用が除外されるのだから、採用内定期間中の者には、なおさら必要ないだろう」とする説が、労働法学では支持されています。
現時点では、この問題に関する判例が確立していないため、決着はついていません。しかし、先述のとおり、少なくとも厚生労働省は、解雇予告が必要という見解です。あなたが、労働基準監督署に申告すれば、必ずそのお店に指導が入ります。
ところで、採用内定取消しには、解雇と同様に労働契約法16条の適用があるとされています。つまり、客観的合理的理由と社会通念上相当性が無ければ、そもそも今回の採用内定取消しは無効ということになります。どのような理由があれば採用内定取消しが認められるかは一概には言えません。一般的には、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できない様な事実が判明したといった事実がなければ、採用内定取消しは無効となります。
グルメキャリー249号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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