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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「「解雇予告」の例外と「解雇制限」の例外の違い」

質問1

Q.

  2週間ほど前に、業務中に大ケガをしてしまい、現在仕事を休んでいるところです。ところで、私は以前にお店のお金を使い込みをしていて、そのことが3日前にバレてしまいました。オーナーからは、「懲戒解雇だから即時解雇とする」と言われました。このような解雇は許されますか。 
【28才 男性】
答え

A.

  そのオーナーは、労働基準法における複数の規制がごっちゃになっているのかもしれません。
 まず、比較的よく知られている「解雇予告」に関してです。使用者(お店の側)は、労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に「解雇予告」をするか、平均賃金30日分以上の「解雇予告手当」を支払わなければならない、と定められています(20条)。ただし、例外として、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」または「労働者の責めに帰すべき事由にもとづいて解雇する場合」には、解雇予告や解雇予告手当は不要で、即時解雇ができるとされています。これらの例外を使うためには、労働基準監督署の認定(解雇予告除外認定)が必要です。「労働者の責めに帰すべき事由にもとづく解雇」とは、一般的なイメージとしては、懲戒解雇と考えてください。お店のお金を使い込むといった業務上横領も、「労働者の責めに帰すべき事由」として認定を受けられる可能性があります。
 また、解雇予告の規制がそもそも適用されない労働者として、「試みの使用期間中で勤務開始からから14日以内の者」「2ヶ月以内の有期契約労働者で、契約更新していない者」等が定められています(21条)が、今回のテーマでは触れずにおきます。
 一方、労働基準法には、「解雇制限」の規制もあります。使用者は、労働者が「業務上災害による傷病で療養するために休業する期間+30日間」と「産前産後休業期間+30日間」は、解雇をしてはならないというものです(19条)。こちらにも例外があり、「打切補償(業務上災害から3年経っても治らない時に支払う平均賃金1200日分)を支払う場合」又は「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」は、解雇制限の規定は除外され、解雇が可能となります。また、「天災事変」の方の例外を使うためには、労働基準監督署の認定が必要です。
 ここで、注意が必要なのは、「労働者の責めに帰すべき事由にもとづく解雇」は、「解雇予告」の例外にはなり得るが、「解雇制限」の例外にはなり得ないということです。つまり、解雇制限期間中にどれだけ悪質な業務上横領が発覚しても、即時解雇はできないということです。ただし、解雇制限期間中に解雇予告をすることは禁止されていません。たとえば、業務上災害による休業から復帰した日に解雇予告をした場合、その30日後に解雇となります。
グルメキャリー254号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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