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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「深夜、強盗に入られ、生命・身体に危険が生じた場合のお店の責任」

質問1

Q.

  私は、24時間営業のお店に勤めています。深夜はお客様が少ないので、1人だけのシフトになることもあります。先日、夜中の3時ごろ、お店に包丁を持った強盗が入りました。売上金は盗られたものの、私にケガはありませんでした。もし、私に何かあったら、お店の責任はどうなるのですか。 
【23才 男性】
答え

A.

  労働契約法5条において、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定められています。この、使用者(お店の側)に課せられた義務を、「安全配慮義務」といいます。
 安全配慮義務が、初めて労働契約において認められた最高裁判例は、新入社員が宿直勤務中に、窃盗の目的で侵入した盗賊に首を絞められバットで頭を殴られ殺されたという事案でした。裁判所は、「使用者は、報酬の支払義務にとどまらず、労働者が労務提供のために設置する場所、設備もしくは器具等を使用し、または使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮するべき義務を負っている」としました。具体的には、「社屋には昼夜高価な商品が多数かつ開放的に陳列・保管されていて、休日や深夜には盗賊が侵入する恐れがあった、実際に商品の盗難が発生したり不審な電話がしばしばかかってきたりしていた、盗賊が宿直員に発見された場合に危害を加えることも予見できた。それにもかかわらず、インターホン・防犯ベル等の物的設備を施さず、従業員への安全教育もせず新入社員1人に宿直をさせていた」といった点から安全配慮義務の不履行があったと判断し、遺族からの損害賠償請求を認めたというものです。
 ご質問のケースを検討すると、深夜営業している飲食店に強盗が入ることは十分に予見できるにもかかわらず、従業員1人だけとなるシフトを組んでいる点は大いに問題です。ほかになんの防犯対策も講じてなかったとしたら、もし何かあった場合、お店は安全配慮義務違反として厳しい立場となるでしょう。
グルメキャリー257号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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