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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「合併で別の会社に移る場合、労働者本人の同意は必要か」

質問1

Q.

  勤めている会社が、ほかの会社に合併されることになり、私も自動的に別会社の社員になることになりました。こういった場合、私が同意しなくても、別の会社に移らなければならないのですか。
【28才 男性】
答え

A.

  合併、事業譲渡等の企業における組織再編は、M&Aの手法の一つであり、経営戦略の一環として実施されます。組織再編の形態にはさまざまありますが、労働者が別の会社に移ることになる場合に、本人の同意が必要か否かについては、その形態ごとに異なってきます。
 まず、「合併」についてです。合併とは、2つ以上の会社の、一方またはすべての会社が解散し、存続会社(吸収合併の場合)または新設会社(新設合併の場合)に、権利義務を承継することです。消滅する会社の権利義務は、自動的にすべて存続会社・新設会社に承継されます。この権利義務には労働契約も含まれています。したがって、消滅会社の労働者の同意無しに、全員の労働契約は自動的に存続会社・新設会社に承継されます。また、人員が余剰になったとしても、合併を理由に解雇することは許されません。
 次に、「事業譲渡」(会社法施行前は、「営業譲渡」といいました)についてです。事業譲渡とは、事業の全部または一部を、ほかの会社に譲渡することです。「会社間で事業を売買する」というイメージです。事業譲渡においては、譲渡会社と譲受会社の間で合意した権利義務だけが承継されます。労働契約についてもまず、企業間での合意が必要で、なおかつ労働者個別の同意も必要となります。たとえ譲渡される事業に従事する労働者であっても、本人の同意がなければ、承継させることはできません。
 最後に「会社分割」についてです。会社分割とは、会社の事業に関する権利義務の一部または全部を切り離して、承継会社等(注1)に承継させることです。会社分割においては、特に労働者の保護が必要との考えから、「労働契約承継法」という法律が創設され、この法律にしたがった手続が必要となります。労働契約承継法では、労働者を大きく二つのグループに分けています。
 一つ目のグループは、承継される事業に「主として従事する者」です。このグループの労働者が、分割契約等(注2)に、承継される労働者として記載されている場合、本人の意思にかかわらず、承継会社等に承継されます。逆に、分割契約等に記載されていない場合、異議申立をしない限り、分割会社に残ることになります。
 二つ目のグループは、承継される事業に「従として従事する者」と「まったく従事していない者」です。こちらについては、分割契約等に承継される労働者として記載されている場合、異議申立しないと、承継会社等に承継されます。逆に、記載されていない場合には、本人の意思にかかわらず、分割会社に残ることになります。
(注1)承継会社等…吸収分割における「承継会社」及び新設分割における「新設会社」
(注2)分割契約等…吸収分割における「分割契約」及び新設分割における「分割計画」
グルメキャリー260号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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