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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「過労死として認定される長時間労働」

質問1

Q.

  チェーン居酒屋に勤務しています。毎日午後3時から、ほとんど休憩も取れないまま、翌朝5時過ぎまで、毎日14時間以上働いています。休日も多くはなく、先月は25日出勤しました。かなり疲れがたまっていて、いつ倒れてもおかしくない状態です。ところで、よく耳にする「過労死」は、どれぐらい長時間労働をしていれば認定されるものなのですか。
【32才 男性】
答え

A.

  働き過ぎや仕事上のストレスが原因となり、脳血管疾患(脳梗塞など)、心疾患(心筋梗塞など)を発症し、死に至ることを「過労死」と呼んでいます。過労死は、仕事が原因の死亡事故なので、労災保険の対象となります。厚生労働省は、平成13年に「脳・心臓疾患の認定基準」を策定し、この認定基準にもとづいて過労死の労災認定をしています。
 認定基準では、さまざまな認定要件を定め、総合的な判断により、労災であるか否かを決定します。認定要件の一つに、「長期間の過剰業務」があり、発症前の長期間(おおむね6ヶ月間)にわたって著しい疲労の蓄積をもたらす、特に過重な業務についていたかどうかを判断します。いくつかある評価要素のうち、労働時間に注目すると、(1)発症前1ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、1ヶ月あたりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱い (2)逆に、おおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まる (3)発症前1ヶ月間におおむね100時間、または発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって1ヶ月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強い、と評価の目安を示しています。
 簡単にまとめると、「1ヶ月45時間までの時間外労働では過労死と認められる可能性はほとんどないけど、45時間を超えれば超えるほど可能性は高まる。直近2~6ヶ月平均で80時間から100時間 、直近1ヶ月100時間超えていれば、過労死として認定される可能性がかなり高い」ということです。
 ここで、具体的にご質問のケースに当てはめてみましょう。過労死認定に使われる時間外労働とは、割増賃金(残業代等)の計算で使われるものとは定義が異なり、1週間あたり40時間を超えた労働時間は、すべて時間外労働として扱います。1日14時間労働で25日出勤したということは、この月の労働時間は350時間だったことになります。もし、4月のように暦日30日の月だったとすると、1週間あたり40時間とは、30÷7×40=約171時間となりますので、この月の時間外労働は350-171=「179時間」であったことになります。こんな働き方を続けていては、(表現はアレですが)いつ死んでもおかしくはなく、過労死として認定される可能性もきわめて高いでしょう。お店の側は、このような労働環境を一日も早く改善するべきです。
 なお、「過労死」とともに社会問題になっている「過労自殺」については、精神疾患が原因で自らの命を絶つことであり、「過労死」とは異なる認定基準(「心理的負荷による精神障害の認定基準」)が用いられます。
グルメキャリー262号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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