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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「出向や転籍に、労働者の同意は必要か」

質問1

Q.

  現在勤務している会社と資本提携している会社へ、出向を命じられました。この命令には応じなければならないのですか。そもそも出向とはどんな制度ですか。
【30才 男性】
答え

A.

   就業規則の規定しだいでは、あなたの個別的な同意が無くても、出向を業務命令として命じることが可能な場合があります。
 「出向」とは、元いた会社(出向元)との間で労働契約にもとづく従業員としての地位を有しながら、他の会社(出向先)において、その指揮命令に従って就労する、人事異動の形態です(在籍出向ともいいます)。出向元とも出向先とも雇用関係が存在することが特徴です。
 出向は、労働者の就労先が変更されるということであり、会社間においては、 出向元から出向先へ労務提供請求権を譲渡することです。そのためには労働者の承諾が必要です(民法625条1項)。出向を打診された労働者本人が個別に同意すれば、この「労働者の承諾」があったことになります。それだけでなく、最高裁判例によると、「業務上の必要がある場合、出向を命じることがある。」といった出向条項が就業規則に定めてあり、なおかつ、出向期間、出向中の地位、賃金、退職金等について労働者の利益に配慮した詳細な規定がある場合、入社時に包括的同意が成立していたものとして、個別同意なしに出向を命ずることができる、としています。また、グループ企業間における出向で、同一企業内の配置転換と同一視できる場合にも、個別同意は不要とする裁判例もあります。
 ただし、会社に出向命令権がある場合でも、その必要性、対象労働者の選定にかかる事情等に照らして、権利を濫用したものと認められる場合、その出向命令は無効となります(労働契約法14条)。
 ところで、出向と似た人事制度に、転籍があります。「転籍」とは、元いた会社(転籍元)との労働契約を終了し、あらたに他の会社(転籍先)との労働契約を締結し、その会社で就労を開始することです(移籍出向ともいいます)。転籍元の会社は完全に退職してしまうところが、出向との大きな違いです。
 転籍は、転籍元との労働契約を解約し、転籍先との新たな労働契約を成立させることになるので、転籍時に労働者の個別同意が必ず必要となります。
グルメキャリー270号掲載
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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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