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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「妊娠中の女性労働者が、つわりを理由に休暇を取れるか」

質問1

Q.

 妊娠2ヶ月の女性です。まだ産前休業を取ることができない期間なので、勤務を続けています。しかし、最近つわりがひどく、仕事を休みたいと思うときがあります。法律には、つわりのための休暇はないのでしょうか。
【27才 女性】
答え

A.

 法律の条文上、「つわり休暇」と明文化されてはいませんが、要件を満たすことで休業することができます。
 男女雇用機会均等法において、妊娠中の女性労働者が保健指導・健康診査を受診するために必要な時間を確保することを、事業主に義務づけています(12条)。そして、その保健指導・健康診査にもとづき、医師等から指導を受けた場合、事業主は、その指導事項を守ることができるように必要な措置を講じなければなりません(13条)。その講じなければならない措置とは、(1)妊娠中の通勤緩和(2)妊娠中の休憩に関する措置(3)妊娠中または出産後の症状等に対応する措置、となっています。
 このうち、(3)妊娠中または出産後の症状等に対応する措置の具体例として、負担の大きい作業の制限、勤務時間の短縮休業、作業環境の変更が挙げられています。いわゆる「つわり休暇」は、この規定を根拠に取得することができ、お店の側は拒否することはできません
 ただし、賃金の支払までは義務づけられていないので、通常は無給となります。また、休暇の期間については法律に定められていないので、医師が必要と認める期間となります。
 ポイントは、「医師等の指導にもとづく措置」が要件となっている点です。医師等の指導がなく、自分の判断でつわり休暇を申請することはできません。
 とはいえ、医師等の指導内容をお店に言いづらかったり、正確に伝えるのが難しかったりという場合もあります。そこで、厚生労働省は、「母性健康管理指導事項連絡カード」の活用を提唱しています。このカードは、医師等による指導事項の内容が事業主に的確に伝達され、講ずべき措置の内容が明確になるように作られたものです。女性労働者からこのカードが提出された場合、事業主はカードの記載内容に応じた適切な措置を講じなければなりません。カードの様式は、厚生労働省のサイトからダウンロード、母子健康手帳からのコピー等により使うことができます。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 妊娠中及び出産後の女性労働者に関しては、ご紹介した男女雇用機会均等法にもとづく措置義務だけでなく、労働基準法にも母性保護の規制が定められています。女性の社会進出が進む一方、少子化の深刻化を背景に、働きながら安心して妊娠・出産ができるようにサポートすることは、経営者としての責務であると理解しなければなりません。
グルメキャリー297号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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第26回 飲食×レストラン業界合同企業説明会 秋葉原 秋葉原UDX 2F アキバ・スクエア
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