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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「有期契約労働者は、契約期間の中途で退職できないのか」

質問1

Q.

 契約期間6ヶ月の有期契約労働者として働いているところです。このたび、家庭の事情で、どうしても仕事を続けることができなくなりました。ところが、店長からは「契約期間の中途で、退職することはできない」と言われました。本当でしょうか。
【27才 女性】
答え

A.

 原則的には、店長の言っていることは正しいことになります。
 期間の定めの無い労働契約(無期労働契約)を締結している労働者は、原則2週間前に申し入れることによって、いつでも労働契約を解約し、退職することができます(民法627条1項)。これを「辞職」といいます。「いつでも」とは、「理由がなくても自由に」という意味です。
 一方、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)の場合、やむを得ない事由がないと契約期間の中途で解約することはできないとされています(民法628条)。この規定は、使用者(お店側)からの解約(つまり、解雇)にも、労働者側からの解約(退職)にも適用されます。(使用者側からの解約については、労働契約法17条1項にも、同じ意味の規定があります。)趣旨としては、契約期間は使用者と労働者が合意の上で決定したものであり、双方が遵守しなければならないものだからです。また、契約期間が満了すれば自動的に解約になるのに、中途で解約するということは、それさえ待てないほどの「やむを得ない事由」が必要である、という意味もあります。
 では、どういったケースであれば「やむを得ない事由」と判断されるでしょうか。ご質問の場合、「家庭の事情」とのことですが、例えば家族の介護のために、仕事を続けられないということでしたら、「やむを得ない事由」と認められる可能性が高いでしょう。
なお、民法628条は、使用者側からの解約については強行規定であるのに対し、労働者側からの解約については任意規定とされ、「やむを得ない事由がなくても退職できる」という合意は有効と解釈されています。
さらに補足すると、有期労働契約の契約期間の上限は原則3年までとなっていますが(労働基準法14条1項)、契約期間の初日から1年を経過すると、いつでも退職することができるとされています(労働基準法附則137条)。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 無期労働契約の場合、労働者には退職の自由があり、退職を阻止することはできません。逆に、有期労働契約の場合は、自由に退職できないのが原則となります。やむを得ない事由がないのに退職した労働者に対して、理論上は、損害賠償請求も可能です。ただ、労働者本人の事情もさまざまですので、頭ごなしにダメというのではなく、よく話し合うようにしてください。
グルメキャリー305号掲載

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飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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