
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「正社員からアルバイトへの降格処分は許されるか」

Q.
業務命令違反が積み重なり、懲戒処分として、正社員からアルバイトへの降格となりました。これは許されるのでしょうか。
【28才 男性】

A.
結論としては、正社員からアルバイトへの降格処分は認められません。
懲戒とは、使用者(お店の側)が、労働者の職場秩序を乱す行為(「非違行為」と言います)に対し制裁として行われる、不利益な措置のことです。使用者が労働者を懲戒するためには、まず就業規則に懲戒の「種類」と「事由」を定めておかなければなりません。つまり、「どんな悪い行為」をしたら、「どんな罰を与えられる」のかを、あらかじめ就業規則に書いていなければならないということです。
ご質問のケースについて、就業規則に懲戒の事由として「業務命令違反」が、懲戒の種類として「降格」が、それぞれ定められているなら、とりあえずは懲戒することができる条件をクリアします。
しかし、この場合においても、どんな降格でも許されるわけではありません。ある裁判例では、私立学校における無期労働契約の教員から、雇用期間1年の有期労働契約である非常勤教員への降格処分を無効としました。使用者は、懲戒権を行使する場合に、雇用の同一性を失わない範囲内で労働者の職務内容を一方的に変更することは可能であるが、それを超えて当該労働契約を社会通念上まったく別個のものに変更しうるということを就業規則に定めたとしても、そのような事項は、新たな契約の締結と見るほかなく、当該労働契約の内容となりえないという理由からです。
ご質問のケースに当てはめると、正社員からアルバイトへの変更は「雇用の同一性を失わない範囲」とは言えず、もはやまったく別の労働契約を結ぶことになり、懲戒処分として無効と判断されるでしょう。
懲戒とは、使用者(お店の側)が、労働者の職場秩序を乱す行為(「非違行為」と言います)に対し制裁として行われる、不利益な措置のことです。使用者が労働者を懲戒するためには、まず就業規則に懲戒の「種類」と「事由」を定めておかなければなりません。つまり、「どんな悪い行為」をしたら、「どんな罰を与えられる」のかを、あらかじめ就業規則に書いていなければならないということです。
ご質問のケースについて、就業規則に懲戒の事由として「業務命令違反」が、懲戒の種類として「降格」が、それぞれ定められているなら、とりあえずは懲戒することができる条件をクリアします。
しかし、この場合においても、どんな降格でも許されるわけではありません。ある裁判例では、私立学校における無期労働契約の教員から、雇用期間1年の有期労働契約である非常勤教員への降格処分を無効としました。使用者は、懲戒権を行使する場合に、雇用の同一性を失わない範囲内で労働者の職務内容を一方的に変更することは可能であるが、それを超えて当該労働契約を社会通念上まったく別個のものに変更しうるということを就業規則に定めたとしても、そのような事項は、新たな契約の締結と見るほかなく、当該労働契約の内容となりえないという理由からです。
ご質問のケースに当てはめると、正社員からアルバイトへの変更は「雇用の同一性を失わない範囲」とは言えず、もはやまったく別の労働契約を結ぶことになり、懲戒処分として無効と判断されるでしょう。

飲食店オーナーの方へ
飲食店では、正社員からアルバイトへの降格処分が、安易に行われているようです。しかし、社会通念上、それぞれはまったく別の契約であり、そのような懲戒処分は許されません。
グルメキャリー306号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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