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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「就業規則等に規定がなくても、労使慣行により法的効力が認められる場合」

質問1

Q.

 今月で退職することになりました。私の勤務するお店には、退職金制度がないので、退職金をもらえないことに納得していました。ところが、同時期に退職する別の人には、退職金が支払われることを知りました。店長に聞いたところ、「あいつは店の立ち上げから10年以上貢献してくれたから、特別に支給するんだ。それ以外の者に、今までも今後も支払うつもりはない」と言われました。これは問題ないのですか。
【30才 男性】
答え

A.

 残念ながら、お店に法律上の問題があるとは言えず、あなたが退職金を請求することはできません。
 そもそも、退職金は、法律上、使用者(お店の側)に支払義務があるものではありません就業規則(退職金規程)や個別の労働契約において、労働条件として定められて、初めて労働契約の内容となります
 ただし、たとえ明文化された労働契約になっていなくても、「労使慣行」が成立している場合には、退職金を請求できることになります。
 「労使慣行」とは、職場において、長期間繰り返し行われる取扱いが事実上のルールとなり、法的効力を持つことです。具体的には、(1)長期間に渡って反復継続して行われ、(2)労使双方がこれを明示的に排除していなく、(3)その慣行が労使双方(特に使用者)の規範意識によって支えられている、等の条件が揃うと、事実たる慣習(民法92条)として、法的効力が認められます。
 ご質問のケースを考えてみます。まず、就業規則等による退職金制度がないので、原則的に退職金を請求することはできません。また、過去に1度も退職金を支給された者がいなくて、今回支給するのも特例的と使用者が認識している以上、労使慣行が成立しているとも言えません。したがって、やはり退職金を請求することはできません。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 一部の労働者に対して、特例的に有利な取扱いをすること自体は法律上問題はありません。ただし、ほかの者からの不満が出ないようにすることや、労使慣行が成立しないようにすることへの注意は必要です。
グルメキャリー313号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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