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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「職務権限を逸脱した行為に、懲戒処分は許されるか」

質問1

Q.

 チェーン居酒屋の店長です。ここのところ売上が伸び悩んでいるので、ファーストドリンクを無料としたり、一部メニューの割引をしたりというキャンペーンを独自に始めてみました。ところが、結果として、大幅な利益減少となりました。そのことを知ったオーナーからは、「店長にそんな権限は与えていない。職務権限逸脱として懲戒処分だ!」と言われました。お店のためを思ってしたことなのに、この懲戒処分は許されるのでしょうか。
【38才 男性】
答え

A.

 労働者は、法律上の義務の一つとして、与えられた職務権限に応じて、誠実に労働する義務を負っています。処分の程度が妥当なものである限り、懲戒処分が有効となる可能性はあります。
 ある裁判例では、「労働者は、その職制上の地位、職務権限、職務内容、給与額等に応じてそれぞれ異なる内容の職務専念義務・誠実義務を雇用者に対して負うのであり、特定の行為が職務専念義務・誠実義務等に反するとして解雇事由に当たるか否かも、その地位等に鑑み個別に判断すべき」と示しています。その上で、総務・人事を統括する管理部長が、職務権限を逸脱して、顧問税理士との契約を勝手に解除したことによって、会社の国税調査への対応を困難にさせ、主要取引銀行との良好な関係を危うくするなど、対外的な信用を損ねる行為をしたことは、解雇事由に該当すると判断しました。
 つまり、従業員の立場としては、職制において与えられた職務権限の範囲で、誠実に労働する義務があり、その職務権限を逸脱して会社に損害を与えた場合には、解雇事由にさえなりうるということです。
 ご質問のケースは、店長に権限が与えられていなかったにもかかわらず、独自のキャンペーンを実施し、その上に利益減少を招いたとなれば、しかるべき懲戒処分もやむを得ないでしょう。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 本文で取り上げたケースのほかにも、例えば納入業者等の取引先を、独断で変更するような行為も考えられます。就業規則において、職務権限を遵守して、誠実に労働し、会社の利益に反する行為を禁止することを明確に記載しておくことが重要です。
グルメキャリー326号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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