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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「健康診断での異常を医師が見落とした場合の、お店と医師の責任」

質問1

Q.

 先日、お店が実施する健康診断を受けたところ、レントゲン写真に異常な陰影が見られるとのことで再検査を受けました。幸い、大きな問題はなかったのですが、もしも健康診断の異常を医師が見落として悪化した場合、お店側や医師の責任はどうなるのですか。
【32才 男性】
答え

A.

 労働安全衛生法により、「事業者は、常時使用する労働者に対し、1年に1回(深夜業従事者は6ヶ月に1回)の健康診断を実施しなければならない」として、定期健康診断の実施を義務づけています(66条1項)。この健康診断は、使用者(お店の側)に課せられる安全配慮義務の一環としても位置づけられます。
 健康診断を実施した際、レントゲン写真の異常陰影を見落としたことにより肺がんの発見が遅れ死亡したケースについて、医師と使用者の安全配慮義務違反の責任が問われた裁判例があります。判決では、使用者側の責任について、「信義則上、一般医療水準に照らし、相当と認められる程度の健康診断を実施し、あるいはこれを行いうる医療機関に委嘱すれば足り、診断結果が明白にこの水準を下回り、かつ、企業側がそれを知ることができたというような事情がない限り、安全配慮義務違反は認められない」としました。つまり、一定水準の医療機関にまかせて健康診断を実施していたなら、企業側に責任はないということです。
 また、同裁判では、「大量のレントゲン写真を短時間で大量に読影することには限界がある」等の理由により、医師の責任も否定されました。
 ただし、裁判例によっては、医師による見落としと患者の死亡との間に因果関係があったものとして、医師に対する慰謝料請求が認められています。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 お店側としては、しかるべき医療機関を選定して健康診断を実施していれば、医師による異常の見落としについて、責任が生じることはありません。一方、健康診断を実施せずに、症状が悪化した場合には、確実に安全配慮義務違反の責任を問われるでしょう。
グルメキャリー327号掲載

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飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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