
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「業務命令について(雇用形態変更)」

Q.
フリーターとして飲食店で働いています。お店ではいい評価をしてもらっているのですが、先日、店長から「どうせなら正社員になれ」と言われました。私はほかにもやりたいことがあるし、責任の重い正社員にはなりたくないのですが、従わなければならないのですか。
【24才 女性】

A.
職務内容や勤務場所の変更などの人事異動については、比較的広範囲に人事権が認められています。しかし、パート・アルバイトから正社員への登用は、雇用形態の変更という重大な契約内容の変更であり、本人の同意なしに、一方的な業務命令によることはできないでしょう。
世間一般的には、パート・アルバイトなどの非正規社員は正社員より低い地位であるとされています。しかしながら、すべての非正規社員が「正社員になりたくてもなれない」わけではなく、多様な働き方として捉える必要があると思います。雇用形態にかかわらず、職業生活において、いかなるキャリアを積み重ね、労働市場における自身の市場価値を高めていくかは本人次第だからです。業務命令によって正社員への登用が許されるという考え方は、働き方の選択を奪うものだといえるでしょう。
世間一般的には、パート・アルバイトなどの非正規社員は正社員より低い地位であるとされています。しかしながら、すべての非正規社員が「正社員になりたくてもなれない」わけではなく、多様な働き方として捉える必要があると思います。雇用形態にかかわらず、職業生活において、いかなるキャリアを積み重ね、労働市場における自身の市場価値を高めていくかは本人次第だからです。業務命令によって正社員への登用が許されるという考え方は、働き方の選択を奪うものだといえるでしょう。
グルメキャリー74号掲載
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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