
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「労働基準法に反する内容の同意書について」

Q.
新しく就職先が決まりました。入社時の提出書類の中に、「残業が発生しても、残業手当は支払われないことに同意します」という内容の同意書があります。この同意書は提出しなければいけないのですか。
【24才 女性】


A.
入社をするということは、使用者(会社)と労働者が労働契約という名の契約を締結することです。本来、契約とは、当事者間でどのような内容で締結するかは自由なものです。ところが、両者が対等な立場でなければ、お互いが納得いく契約ができなくなってしまう恐れがあります。たいていは、使用者は強い立場、労働者は弱い立場になってしまうものです。すると、労働者は仕事が欲しいがために、「時給100円で働きます」「1日20時間働きます」など、ムチャクチャな契約を結ばされることになってしまいます。そうならないために、労働基準法をはじめとした労働法によって、労働条件の最低基準を定め、使用者がその基準を守ることを強行的に義務付けています。そして、この基準を下回る契約は、いくら同意があったところで無効となり、無効となった部分は法律で定められた基準まで引き上げられることになります。
残業をさせた場合は、一定の割増計算をした手当を支払うことが、使用者に義務付けられています。「義務付けられている」とは、たとえ労働者の方が「残業代はいらない」と言っていても、使用者はポケットにねじ込んででも受け取らせなければいけない、ということです。ご質問のような同意書は、無理やり書かされた場合はもちろんのこと、仮にあなたが自分の意思で同意して提出したとしても無効になり、使用者は残業手当を支払う義務があります。
残業をさせた場合は、一定の割増計算をした手当を支払うことが、使用者に義務付けられています。「義務付けられている」とは、たとえ労働者の方が「残業代はいらない」と言っていても、使用者はポケットにねじ込んででも受け取らせなければいけない、ということです。ご質問のような同意書は、無理やり書かされた場合はもちろんのこと、仮にあなたが自分の意思で同意して提出したとしても無効になり、使用者は残業手当を支払う義務があります。
グルメキャリー75号掲載
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
業務案内:給与計算、労働・社会保険の手続き代行、就業規則の診断・作成 店長・管理職対象労務研修の実施、人事・労務相談