飲食業はサービス業でありながら、この業界で働いている人には寡黙な方が多いです。職人であっても、無言・無表情では飲食人は務まりません。例えば、無言の食卓とワイワイ盛り上がった食卓、どちらが美味しいと感じるでしょうか？また会話のない職場とある職場では？誰だって楽しく食事をしたいし、楽しく働きたいですよね。欧米では会話は他人に対するサービス・気遣いであり、敵意を持っていない表明でもあります。キッチンだから寡黙でもいいなんてのは、少なくとも当店では通用しませんよ。仕事は楽しくしたいですよね。

飲食経験はありましたが、専門的なイタリアンは未経験の彼が面接に現れたときの姿は、髪はボサボサ、ラフな服装でした。通常であれば、この時点で不採用となるパターンです。しかし、彼の「今のままでいいのだろうか？」「イチから学び直したい」という強い気持ちに私は賭けてみたくなり、採用しました。まだまだシャイなところがあり上手く馴染めていませんが、最近は変化も出てきているので、今後の彼に期待しています。

当然お店は一人ではできませんので、チームプレーが求められます。だから周囲とコミュニケーションを取らず、自分なりのスタイルで仕事をしようとする人は採用できません。また前店の悪口ばかり言う人。これは見方を変えれば、自分もそこに所属していてダメな点が把握できていたにもかかわらず、何もしなかった、何もできませんでしたということの裏返しですので、少しは恥ずかしいと思ってください。