飲食業界で働く方の多くが目標にする「独立開業」。
独立すると決めてから実際経営に至る中で起こる問題を質疑応答形式でお答えします。
味には自信があるのですが、お客様が増えません。口コミが広がらないようです。どうすれば良いでしょうか?
当店自慢の洋食料理(ハンバーグや海老フライ、ビーフシチューなど)はどれも美味しく、顧客にも好評です。しかし、再来店につながらず客足が増えません。どうすれば良いのでしょうか?(洋食店経営/40才/男性)
「フォトジェニックな看板メニュー」を作りましょう。
美味しい店なら日本中どこにでもあります。「記憶に残る」「人に薦めたくなる」「SNSで拡散したくなる」ような料理が求められます。言い換えると「味だけでなく、他にはない個性的で見た目や味わいにインパクトのある料理」です。
- (1)来客の大半が注文するような看板メニュー
そのメニューを求めて来店される、つい食べたくなる、必ず注文されるような主力商品を開発する。そこには、ストーリーや味のインパクトが求められる。
例/四川飯店、陳建一の麻婆豆腐(山椒の辛さが人気の秘訣)
トゥールダルジャンの鴨料理(鴨にナンバリング)
洋食屋さんだからと「ハンバーグに、エビフライに、ビーフシチューに、ポークカツレツに…」すべてで主力化を狙わず、勝負する一品を作る。それに引きずられて、他の料理も今のままで盛り付けやストーリーの訴求で売れるようになる。
- (2)定番+アルファが発想の秘訣
「全く想像できない味わい」は「受け入れられない」ことが多い。何か一つスパイスを加えるようなヒネリがちょうどいい。王道からは決して外れない、しかし、何か新しく斬新な発想を感じる料理が人気を博す。
例/キムカツ(薄切り肉を何層にもミルフィーユ状に重ねた柔らかいトンカツ)
WAKIYA(中華料理を少量で一皿ずつ懐石料理のように提供、上品な演出) - (3)味とボリュームと価格のバランスが大切
「いい素材の美味しいお料理を沢山(適量)、お安くいただきたい」のがお客様の気持ち。しかし、お店は「いい素材だから高いのは当たり前」又は「いい素材を安く提供したいから量は少なく」となってしまいがち。それではお客様の心は掴めない。それなら「普通の食材でも愛情とユーモアたっぷりの美味しい料理をお客様の好きなだけ」、そして「値頃感のある価格」で提供する方法を考えなきゃ。「いい素材ありき」「価格ありき」ではなく、「お客様の気持ちありき」で。