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タイトル

第32回 コントワールミサゴ

2013.6.6
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その時季のうまいもんをフレンチの技法で。でも、心意気はすし店のように。

「コントワールミサゴ」──。この店名に、すべての答えがあります。

コントワールとは、カウンターのこと。そしてミサゴは、土切祥正シェフのお父さまが営んできたすし店の屋号です。

「もともと実家の店を継ぐことを考えて、すし店に入って修行をはじめたんですね。そうしたら、食材や技法に対する好奇心がふくらんで、もう止まらなくなった(笑)。魚だけじゃなく、和の技法だけじゃなく、洋食、フレンチを学んでみたいと世界観が広がってきたたんですね」

結局、実家のすし店を継がなかった土切シェフ。

「でも、カウンターをはさんで、すし店の心意気をもってお客さんと向き合いたいんですね。で、四季のうまいものを集めて、フレンチの技法で提供したいと思いました。それで「カウンター」を「コントワール」に、実家の屋号「みさご」を「ミサゴ」にして、そのままコンセプトとして表現しています」

自ら、山へキノコや山菜を採りに出かけます。釣り船に乗って海へも出かけます。奥さまの美恵さんのお父さまは新潟在住の生産者。真鴨を網で捕まえる名人でもあります。山奥に入って獲物をとらえるマタギたちとのネットワークを通して、さまざまなジビエ食材も届きます。そしてときどきお客さんも山菜を持ち込んだり。

どどーん。

どうです。シェフの前に並んだこの時季のうまいもんの数々(←写真)。山菜、あか牛、稚鮎、ホワイトアスパラ、カキ……。これらがフレンチの技法で極上のひと皿へと盛り付けられます。たくさんの食材を前に、シェフの笑顔もごちそうのうち、ですね。

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シェフと相談しながら、季節のうまいもんを、自分好みのフレンチに。

カウンターをメインにした店内には、ひとり客の姿もめずらしくありません。

決められたコース料理ではなく、うまいもんをちょっとずつ、何種類も楽しみたいというニーズに対応しています。

シェフとお客さまとのやりとりで食事の流れをつくっていったり、その時季の食材めあてで訪問し、こんなソースでとその日の食べ方をリクエストしたり、自分スタイルの楽しみ方を実現できるのも、大きな魅力。

「この食材でこのスタイルでしか出せない、というのは怠慢だと思うんですよね。レシピどおり作業をするような、いわゆるルーティンワークじゃなくて、お客さまの目の前で、エキサイティングに料理をつくっていきたいのです。私たち、つくる側もライブ感を楽しんでやっているんですよ」

美恵さんやスタッフたちは、常にシェフとお客さまとのオーダーのやりとりに耳を傾け、料理の手順や方向性、展開を把握します。いっしょにライブステージを演出するチームワークが求められているのですね。

シェフと相談しながら、季節のうまいもんを、自分好みのフレンチに仕立ててもらう。

この関係性って、昔ながらのすし店のスタイルと同じですよね。すしは魚が主体の業態なので、山菜やジビエまで幅広く楽しめる「コントワールミサゴ」は、まさにすし店以上の魅力にあふれているといえるでしょう。

生産者やマタギにとっては、土切シェフが自分たちの食材を買ってくれる仲間であり、そんなシェフを囲むように連日、うまいもん好きが集まる好循環が生まれています。

シェフのスペシャリテは真鴨料理! 美恵さんのお父さまは農作物の生産者であり、真鴨を生け捕りにする名人でもあります。

この時季のうまいもんが冷蔵庫からつぎつぎと。渓流からは美しい稚鮎が、熊本の大地からは「あか牛」が到着しました。

ひとりカウンターに座り、あれ食いたい、こんな調理法がいい、とリクエストされる常連客も多し。すし屋のノリが「ミサゴ」流!

店舗情報
コントワールミサゴ
東京都港区西麻布4-17-22アビターレ西麻布2F
tel.03-6427-3376
営:火~金ランチ12:00~13:30(L.O.)
ディナー18:00~22:00(L.O.)
月・土18:00~22:00(L.O.)
休:日曜日
交:渋谷駅徒歩15分
<予告>次回のリレーキーワードは?
「コントワールミサゴ」飲み仲間「レストランリック」

いま修行中の若い世代には「逃げるな、負けるな、立ち向かえ」のメッセージをいただきました。「無駄な仕事なんてひとつもありませんょ。すべては独立後の財産になりますからね。さて、次のお店の紹介ですけど、飲み友達であり、料理の話もよくする相手で『レストランリック』の山名シェフをご紹介したいですね。大阪のイタリアンを表現している個性派シェフです」。ありがとうございます。それでは次回、「レストランリック」でお会いしましょう!

文:高木 正人
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