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タイトル

第38回 四季おりおり

2013.9.5
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田舎をもつ人、東京出身の人。すべてに郷土料理の素晴らしさを。

岡山県出身、瀬戸内の海を見ながら育った福田雅暢さんは、東京へ出てきてあらためて郷土料理の素晴らしさを知りました。

「黄ニラ、シャコ、タコとかね。陸のものも海のものも、美味いものがいっぱいあるのが、瀬戸内の素晴らしさ。飲食の仕事に就いて、和食ひとすじでやってきて、自分で店をやるんだったら、やはり郷土料理をやってみたいと思っていました」

お店のメニューを見ると……。

八戸せんべい汁、宮崎冷や汁、冷製稲庭うどん、ランチではゴーヤチャンプルー。ん? 全然、岡山県の郷土料理じゃないでしょ!(笑)

「私のように田舎をもっているって、素晴らしい財産だと思うんですね。で、私以外にも、日本各地に田舎をもっている人たちがたくさんいるわけですね。そういう人たちには、自分の田舎ならではの郷土料理がある。私は、日本各地の美味しさを提供していきたいと思っているんですよ」

なるほどですね。常連さんの多くは、全国各地から東京へやってきて、仕事が忙しくてなかなか帰郷できない人たち。もちろん、東京出身のビジネスパーソンにとっては、ほっと癒されるメニューがいっぱい。

おっと今日仕入れの鮮魚は?

「見てくださいよ。九州からこんな太刀魚が届きました。今夜のメニューは塩焼きか、唐揚げ、ムニエルでもいいかもしれません。届いたばかりの食材を見てから、その食材と作戦会議をするんです。今日はどんなメニューにして、お客さんをおもてなししようかねって(笑)」

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家庭でも楽しんでほしいから、レシピは、教えちゃう。

朝、福田さん自ら築地にも行く日もありますが、夕刻になると各地から食材が届きます。

そこから頭をひねり、その食材がもっとも美味しくなれるメニューを考え出すと、紙と筆を取り出します。入魂のメニュー書きですね。

メニュー名はとてもシンプル。複雑な表記や気取った料理名にすることをあえて避け、誰が見てもお皿に盛り付けた料理がイメージできそうなものばかり。

「当店の名物のひとつに冬場になると、タラの白子の醤油焼きというのもありますが、メニュー名より全然美味しいと思います(笑)。ぱっと見は、ご家庭でもできそうな料理なんです。でも、できない。そういう料理をめざしています」

家庭で、できそうで、できない郷土料理──。

それが「四季おりおり」の魅力でもあります。

「よく女性の方などから、つくり方を教えてと言われるんですが、全部お教えしています。こんど、メニューに、レシピまで書いちゃおうかなって、思っているところなんです。仕事で忙しくてなかなか料理づくりを楽しめない女性が増えるなか、こんなレシピで楽しく郷土料理をつくってみませんか?って。そんな提案をしていきたいと思っているんです」

福田さんの立ち位置は、いつもカウンターの中。でも、気配りの人でもあります。カウンターの内側から、いつもお客さんのことを見守るサービスマンでもあるのです。

「笑顔で帰っていただくために、ちょっとした気遣い、たとえば『すいません』とお客さんに言わせないとかね。そうやって、目に見えないサービスをスタッフとともに心がけています。それでも、お客さんがあまり入らない暇な夜は辛いですね。逆に、忙しさに追われて、営業が終わるとクタクタになる方が、気持ちはラクです」

桃、ブルーベリー、キウイ、トマト……。お酢にフルーツを漬けた自家製フルーツ酢が人気ドリンク。ヘルシーな美味しさです。

都内でも飲める店は少ない希少な生ビール「白穂乃香」。華やかな香り、きめ細かな泡を楽しめる、贅沢な生ビールです。

しっかりと広めの店内。キッチンは福田さんひとりで回しています。4席しかないカウンターで、じっくり飲むのも楽しそう。

店舗情報
四季おりおり
東京都渋谷区恵比寿西1-13-6 第5ミトモビルB1
tel.03-3476-8866
営:平日17:30~25:00(L.O.24:00)
土曜日17:30~24:00(L.O.23:00)
休:日・祝
交:各線恵比寿駅徒歩3分
<予告>次回のリレーキーワードは?
「四季おりおり」スポーツともだち「アシタノハナ」

取材中もぞくぞくと食材が届き、その度にフタを開けて中身をチェックする福田さん。どんなメニューにしようかなと、イメージを膨らませる表情は、とても楽しそうなのでした。さて、次のお店をご紹介いただきました。「三宿の隠れ家的ワインバーがあるのをご存知でしたか。昨年オープンした『アシタノハナ』の岸本さんとは、休みの日にゴルフなどもご一緒させてもらっているともだちなんです」。ありがとうございます。それでは次回、三宿でお会いしましょう。

文:高木 正人
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