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飲食人異業種対談 SOCCHI×KOCCHI 美容師×料理人

第1回美容師編~「好き」と「感動」を仕事にした同志~

世の中の「職人」と言われる職業の中でも「独立者が多い」「所作が美しい」「モテそう」などの

ポジティブイメージと「修業期間が過酷」「体力・精神的にキツイ」「才能がないとやっていけない」などの

ネガティブイメージに共通点が多い「美容師」と「料理人」。

近年、様々な社会構造により志願者が減っていると言われているが、

小・中学生の「将来なってみたい職業」には双方10位以内にランキングされるあこがれの職業である。

いずれにせよ美容師も料理人も「好きを仕事にした人」「仕事が感動に直結する仕事」である事は間違いない。

取材日初対面のお二人の共通点・仕事観とは?

美容師×料理人
戸田大貴(26)
Daiki Toda
1989年生まれ。アシスタント(美容師歴6年)
現ポジション/アシスタント
勤務店舗/Un jour(アンジュール)表参道
吉村悠(29)
Yu Yoshimura
1986年生まれ。イタリアンキッチンスタッフ(料理人歴6年)
現ポジション/セカンドシェフ
勤務店舗/Cuccina Italiana HirraRi(ヒラーリ)三軒茶屋

2016年7月掲載

もう一度、生まれ変わったとしても料理人の道を選びたいです(吉村)

吉村悠

── 偶然にも職歴がほぼ同じおふたりですが、まずそれぞれの業界に入ろうと思ったきっかけを教えてください。

「僕は出身が大阪で、大学時代に地元のお好み焼き屋さんでアルバイトをはじめたことが料理の道に進むきっかけになりました。あぁ、料理っておもしろいなぁ……って純粋に感じたんです。大学卒業後は、東京にでたいと思ったので国立にあるエコール辻東京に通いながら、パスタ屋さんに住み込みで働かせてもらっていました」

「吉村さん、大阪なんですね。僕は静岡から上京してきました。美容師になろうと思ったきっかけは、単純に自分の通っていた美容室の美容師さんがかっこよかったから。そんな理由で中学生のときからぼんやりと美容師さんにあこがれて、高校卒業後に美容学校に行って、卒業後は銀座のヘアサロンに3年ぐらい勤めてから、表参道の今のお店に転職しました」

── 偶然にも職歴がほぼ同じおふたりですが、まずそれぞれの業界に入ろうと思ったきっかけを教えてください。

「イタリアンは、洋食の中でも一番自分の好みに近かったんです。ちなみに僕はこのお店にくる前に、銀座にあるリストランテで働いていたんですが、そこは厨房だけでも十数名もいたので、できる仕事の量も限られていて。もっと色々触って、感じて料理を作りたいと思っていたときに先輩にこのお店に連れてきてもらい、ここで働きたい! となって、転職したんです。カウンター越しにキッチンがあって、お客様との距離が近いところにも魅力を感じましたね」

「ここのレストランはイタリアンだけどカジュアルなので入りやすいし、本当に雰囲気がいいですよね。あ、僕が表参道で働きたいと思ったのは、やっぱり美容室の激戦区だから。美容師になるからには、激戦区の中で一度は自分の力を試してみたいという気持ちがあったんです」

「でも、中学生時代の夢を叶えるってすごい。僕は高校生まではサッカー選手になりたかったんですよ(笑)」

「いやいや、本当にぼんやりとあこがれていただけです。最終的には何か楽しいことをしたいという気持ちのほうが強かったですし!」

── ちなみに、今のおふたりの仕事内容について聞いてもいいですか?

「僕は、セカンドシェフとしてパスタとメイン料理を担当しています。基本、厨房の中にいるので、お客様と直接関わる機会は少ないんですが、キッチンからお客様の喜んでいる顔が見えたり、ホールスタッフがお客様の声を伝えてくれたりすることが、僕のやりがいにつながりますね。その点、美容師さんだとお客様とは一対一で関わり合いますよね?」

「そうですね。僕の場合、アシスタントとして基本、すべての作業のフォローに入るので、お客様とは直接関わります。あとは、営業時間が終わったあとに、自分のお客様にカットモデルになってもらって、髪を切らせてもらうこともあります」

世界の美容事情をしっかり目にして自分の幅を広げていきたい(戸田)

戸田大貴

──  ところで、お互いの仕事に対するイメージってどんなものですか?

「やっぱり、美容師さんって、おしゃれなイメージがあります。華があるというか……。ただ、その分、すごく忙しくてお昼ごはんとかはいつ食べるんだろう? とか、実際に仕事として髪を切れるようになるまでには結構な時間がかかって大変なんじゃないか……という辛いイメージも否めませんが、実際はどうですか?」

「おしゃれに関しては、やはり毎日私服なので、スタッフ同士で意見を言い合ったり、安い洋服でもうまく組み合わせて、よく見せるような努力はしています。お昼ごはんは、平日は30分ほど休憩時間があるのでそのタイミングで食べますね。でも、土日などで混雑している日は、食べるタイミングを逃して結局夜になってしまうこともあります。ひとり立ちするまでは時間はかかりますね。でも、きっとその点では料理人さんも同じじゃないですか? 拘束時間の長さや上下関係の厳しさなんかは、美容業界と飲食業界は似ているような気がします」

「たしかに。そう簡単には一人前にはなれませんよね、どの世界も(笑)」

「料理人さんは、常においしい料理を食べられるイメージがあります。それに料理は生活に通じているので、その知識がいろいろな場面で役立ちそうだなぁと思いますね」

「同世代の子たちよりは、絶対においしいものを食べている自信はあります。それが自分を成長させるひとつのツールだったりするので……。知識は生活で役立ってるかな? 今は家で料理したりはほとんどないですからね。他の人がつくった料理を食べたいという気持ちのほうが強いので、いろいろなお店を食べ歩きしたりしてます。美容師さんも他の美容院に偵察しに行ったりもするんですか?」

「もちろんありますよ! 他のお店に行くと新しい発見がありますよね」

「そうそう、自分のお店では気づくことのない発見みたいなのがね」

── 意外と、似ている部分が多いですね! おふたりとも働くことに楽しさを見出しているように感じられますが、生まれ変わってもやっぱり同じ道を選びたいですか?

「選びます! 今も体力的に辛いなぁと思うこともありますが、好きでやっていることなので、本気で辛いとまでは感じないし、もっと料理のことを知りたいという欲求のほうが勝ります」

「選びません(笑)。というのも、将来的に美容師はその仕事1本ではなく、美容室×カフェとか美容室×雑貨屋など、マルチに仕事をしていく時代になると思うんです。だから、生まれ変わったらいろんな道へ進んで、各分野の知識を学んでみたいです。もちろん、美容師の仕事は好きですよ」

── 最後にお互いの夢を……。

「とりあえず7月から1ヶ月間、イタリアに行くので本場の味を感じて、成長したいです。いずれは自分のお店を持てたら……と!」

「まずはお客さんを増やすということが夢の第一歩。あとは、世界の美容事情を見て、自分の幅を広げたいので動けるうちに海外に行きたいです」

「海外つながり。最後までなんか似てますね、僕ら」

─ 戸田さんが勤めているお店 ─

Un jour
■Un jour(アンジュール)表参道
住所:東京都渋谷区神宮前4-5-10
電話:03-5474-0525
時間:【平日】月~金11:00~21:00
【土曜日】10:00~20:00
【日・祝日】10:00~19:00
定休日:月曜日(祝日の場合も定休)
交通:地下鉄各線「表参道駅」A1出口徒歩5分

─ 吉村さんが勤めているお店 ─

Cuccina Italiana HirraRi
■Cuccina Italiana HirraRi(ヒラーリ)三軒茶屋
住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-6-13
電話:03-3795-5587
時間:【ランチ】11:30~14:00(L.O.)
【ディナー】18:00~22:00(L.O.)
定休日:月曜日
交通:地下鉄各線各線「三軒茶屋駅」南口徒歩8分
  • 文 安藤 陽子
  • 写真 ボクダ茂
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